この世で一番大事な「カネ」の話 西原理恵子

#この世で一番大事な「カネ」の話 #西原理恵子

再読本 言葉が真っ直ぐに抜けてきますのので、現時点であまり状態のよくない方は読むのは勧めません。

負のスパイラルを断ち切り漫画家として食べていけるまでの生き様は凄いの一言。

社会を泳いでいく上で切り離せない#マネーとの付き合い方、考え方、稼ぎ方を伝えておられます。

 

 

決してハウツーや財テクではないし、経済学でもない。

カネと人間関係の哲学書と言えます。

一見、社会に出る前の高校生、大学生向けの内容とも取れるが中年になってまずまずの生活を送れる様になった今でも勉強になります。

50過ぎて折り返し地点だからこそ、これからのことを改めて考えてみたいと思わせてくれる。

この世で一番大事なのは#お金だというのは社会に出てる大半の人達は解ってる。

学校でお金の勉強をさせなかったこの国の教育方針、なので道徳的に反作用を招きやすい表現でもあるのだが。

ただ心の豊かさの方が大事と言うひともいるがそういう人程ズルくセコイ。

確かに西原さんのような頑張ったひとは素晴らしい、一方で残酷な事にファイトも湧かない、チャンスすら巡ってこない人も多いのが現実だ。

冒頭で申し上げたのはこれらの理由から。

 

 


 

 

特に印象の残った事

東南アジアの貧しい国カンボジアプノンペンの郊外、子供たちが夜中に不衛生なゴミの山、スモーキーマウンテンでマスクも手袋もせず有害物質を吸い込みながらペットボトル、鉄を仕分ける作業をしているそうだ。

そうして手にする報酬はたったの200円、しかもこれは大家族一回分の食費になる。

家に帰ると現実逃避からか飲んだくれた父親を筆頭に家族が口を開けて待っていて隣の子供が覗きにくると一緒に食べさせると著者は言う。

モンゴルのストリートチルドレン、アフリカのコソボなどとは内容が違うが悲惨なのは同じだ。

日本にいると気が付かないが、外に出れば想像すら出来ない扉が開き、未だにこんな世界があるのかと愕然としたと。

かっての国力は衰えたとはいえ遥かに恵まれた日本、ここにいながら(何をやりたいのか分からない)と嘆いて何もしようとしないのは豊かさ故の副作用か。

日本にいつまで一人前の仕事があるかどうかは誰にも分からない、だが現実問題として少子高齢化で人手不足の中、健康であれば雨露凌げる部屋に住めて、腹いっぱいの飯が食える仕事はあるだろう、一度この日本で働けることの有難さについても考えることは必要ではなかろうか。

 

本書の琴線に触れた言葉

・将来に希望が見えないと人は己を大事に出来なくなる。

・確信がなくても歩きださなきゃならない時がある。

・プライドだけでメシは食えません。

・才能って人から教えられるもの。

・いいカモほど周りはチヤホヤしてくれる。

・奢られて当たり前は人を甘くみたり、自分自身を卑屈に思う気持ちが潜んでいる。

・お給料は我慢料、高いほど気力、体力共にタフなんだよ。

・負け方を学ぶこと、人生では常勝はなく負けることがほとんど、負けた時に笑っていること。

・己が稼いだ金は誰かが喜んでくれた報酬。

・最下位には最下位の戦い方がある。

と他にもたくさんあります。

 

最後に

自分の過去のでお恥ずかしいが独立して間もないころ、仕事が繋がらずこっそりとアルバイトをしていた。

当時本業の手間賃は2万5千円ぐらい、なのにその3分の一の報酬でも毎日日銭が入るってのは精神的に安定したのを覚えてます。

本当に不思議な感覚でした。

又、なかなか仕事にありつけずに自信を無くしかけた時、アルバイト先での他愛ない会話や少し褒めてもらえたこと、こうした別の世界での社会との関わりが随分と支えになりましたね。

例え少額でも稼ぐということは、こんなにも己を守る為に大切なんだと身に染みた体験でした。

お金を稼ぐというのは己のパンのため、愛する者達のパンの為で要は生きてくこと。

お金がないと何もかも守れないんだと。

 

最後の(働きなさい、働いてお金を稼ぎなさい、そして強くなりなさい、それが大人になるっていうこと)は真っ直ぐで愛のある言葉だと思います。

これから社会に出る前の方々だけでなく仕事との向き合い方やお金、人間関係に悩む方々に読んで頂きたい一冊です。