幸せジャンクション 香住 泰

kindleunrimedで見つけた本、なかなか面白かったです。

初読み作家さんで香住泰さんの幸せジャンクション。

 

主人公は還暦になる浜浦。

勤め先の運送会社では配車業務を担当、里帰りで数日休みを貰い久々に出社すると会社は突然の倒産。

何が起こったのが全く分からず、会社には人相の悪い連中が金になりそうなものを物色にきていた。

何とか社長と連絡を取り事情を聞いてその人柄を知る浜浦は仕方がないと納得。

己の不遇な時に雇ってもらった恩義もあり、力になれなかったことを詫びる。

その社長から退職金代わりにと愛車のキャンピングカーを貰う。

キャンピングカーの運転初日、大雨で困ってる人を家に送り届けるとそれをきっかけに新な人生の展開が始まる。

色んな事情を背負う人達、大切なモノ、ペットを送り届けるお手伝いの旅だ。

元来のお節介精神と実直で博識、肝も据わっており浜浦と関わりを持った人達は、次第に心の縛りが氷解し、人生のスプリングボードとも言える出逢いとなる。

この物語のハイライトの1つはキャンピングカーに同乗する介護士の女性が魅力的。

大雨で困ってたところでの出会いだ。

やや人のパーソナルエリアに踏み込み過ぎる面があるように感じたが、その愛くるしさが浜浦の良い側面を引き出していいコンビだ。

 

過去の傷を背負い世間となるべく関わりを持たないように生きてきたこの男、浜浦。

人に変わる勇気を与えることで己の過去とも向き合う覚悟が決まるととんでもない

事実が・・・

面白くて一気読みでした。

 

応接室のようなキャンピングカーでの旅は憧れるね。

レンタルであるみたいだから近いとこからやってみようかな😊

 

人との関わり合いの中で生きてる私たち、人間てのは多面体で明るいという一点だけみて付き合う、又苦手な人、嫌いな人に欲をかかないというのは世間を渡る術としては王道かもしれない。

ただやっぱりそれだけではなくてその人のひだ、背景やどんな事に傷ついてきて、どんなことが嬉しいのかを想像することって改めて大切なことだと響いた。

 

マイナスをもたらすのも人だがプラスをもたらすのも人だ。

 

世知辛い世の中、辛抱強く、誠実に生きることは容易ではない。

だからこそ普段の居方、在り方を問われてる、そんな己との会話も出来る素晴らしい物語でした。